SVX 不具合レポート

トランスミッション

■ 交換まで

 購入後しばらくして、車庫入れなどの低速時に異音と振動が出ることに気づきました。 最初はドライブシャフトを疑い交換したが改善されず、結局ソレノイドバルブ交換で 症状は収まりました。ところが、今度はATの滑りを感じるようになりました。(^_^;)
 何とか年末まで持ってもらえれば...という期待に反して5/12にお亡くなりになりま した。(-人-)合掌
 ただ、兆候はありました。

・2->3へのシフトアップのタイミングが長くなった。(入りにくくなった)
・アクセルに反応してミッションが空回りしているような音(ウォーンというモータが 回るような音)がするようになった。

 そのままスバルへ入院となり、リビルト品へ交換となりました。オーバホールではなく、 リビルト品への交換を選択したのは、

・オーバホールの工賃、部品代がリビルト品の値段とさほど変わらない。
・リビルト品の場合、トルクコンバータも新品である。

 という理由からです。

■ 交換

 交換はリビルト品の取り寄せを含めて2週間掛かりました。気になるお値段はまともに 交換すると約40万円です。詳しくは書けませんが、私の場合、ソレノイドバルブ交換の 代金を相殺してもらったので、もう少し安い値段でした。

■ 原因

   いつもお世話になっている整備工場のメカニック氏の診断によると、故障の原因としては、

・ブレーキバンドの摩耗によるATの滑り。
・オイルポンプ部のガスケット劣化によるライン圧低下。
 → 油圧が発生しないので、前進しない。

 でほぼ間違いないとのことでした。

 ここで、「ブレーキバンドとは何ぞや?」と思う方もおられるでしょう。(私もそうでした。^^;)
 調布市のKAZさんのHP技術的Q&A集の中のATに関するQ&A集 にブレーキバンドの役割について詳しく記述されています。また、タイトルの通りATについて詳しく書かれて いますので、是非ともご覧下さい。URLは下記の通りです。

ATに関するQ&A集: http://www.asahi-net.or.jp/~mi5k-amkt/qa_at.htm

 今回のミッション交換では調布市のKAZさん にも技術的な質問に答えて頂くなど、大変お世話になりました。ありがとうございました。
 そのやりとりの一部をご本人の許可を得て転載します。

■なぜ起こる?■

 変速不良が起こる理由は様々です。

・急操作でクラッチを滑らせた。(アクセルを「からぶかし」した状態で、変速レバーを 急にシフトチェンジした場合など)
・油圧(潤滑)回路が(設計仕様上)不適だった。
・クラッチの摩擦材の選定が良くなかった。(短距離走行で摩耗寿命が来た、など)
・ソレノイド不良。
・TCUの制御がきめ細かくない設定仕様である(変速ショックがいつも大きい)・・・など。

 中古車の場合は、前オーナーのクルマの取り扱い方も関係しますので、一概には 原因が「?」のこともあります。

※下線部筆者

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 結局のところ、排気量3.3リッターの大排気量(トルクがある)エンジンに対し て、バンドブレーキの容量そのものが不足気味だったか、スキマ調整が(中古で購入 された時点で)広がり気味に調整されていたか、何らかの原因(前ドライバーが、 手動でセレクトレバーを操作している最中にアクセルを思い切りふかしてしまった など)でバンドの摩擦材が片当たりを起こして滑り気味になってしまったか。 ・・・などが本当の原因のように感じられます。

■ライン圧低下について■

 オイルポンプが生きていても、ガスケットがへたると油圧もれを起こし、ライン圧が 低下します。ライン圧とは、多板クラッチをON−OFFさせるための元圧(みなも ととなる根本圧力、普通はレギュレーター回路と呼ばれる装置で一定圧に保たれる) です。
 ATは複雑な油圧回路構成をもちます。ある1つの油圧回路であっても、複数の 部品間にまたがって、その中を貫通して流れる必要のある場合も出てきます。 その場合には、部品と部品の間をしっかりとシール(密封)する必要があり、 その役割を担うのがガスケットです。
 ガスケットにはいろいろな種類があり、紙ガスケット、液状ガスケット、メタル ガスケット、カーボンガスケットなどが場所に応じて用いられます。
 ATのように、ひんぱんに油圧が高低変動し、油温が高く(100〜140℃くらい とお考え下さい)なりますと、すきまを密封する役割のガスケットにとっても使用環境 はつらいと言えます。したがってガスケット自身も劣化(へたる)ことがあり得ます。 とはいえ、ガスケットはもともと「へたる」ことを前提に入れて設計されているハズ ですので、もしガスケット不良がおこっていたのならば、(厳しい言い方をすれば) 設計基準がやや甘かったのかも知れません。しかしながら、ここでもやはり、前オーナー の運転状況によっては劣化程度に差が生じることが考えられますので、一概には (ガスケットの場合に限っては)本当の原因推定は少々難しいです。
 なお、ガスケットもAT内では複数場所に複数個、使われていますので、1ヶ所だけ でなく複数ヶ所のガスケットが劣化して複数ヶ所で「油圧もれ」を起こしてしまう可能 性もゼロではありません(滅多にないですが、ご参考まで)。

■エンジンブレーキによるブレーキバンドへのダメージについて■

 減速時には、バンドブレーキが減速力を受け止めるのではなく、別の多板ブレーキ やクラッチがその力を受け止める構造になっています。(それらにもまた専用の名前 がついていまして、オーバーランニングクラッチとかワンウェイクラッチとか呼ばれ ています。)ですから減速時は、バンドブレーキの滑りを特に心配される必要は ないと考えます。

(注):ワンウェイクラッチ=ある一方方向にしか回転動力が伝わらない部品です。
   例えば右回転はするが(=空転)、左回転はしない(ブレーキがかかる)
   とかいった具合の部品です。
 つまりエンジンブレーキが効く(あるいはエンジンブレーキが必要だと車載 コンピューターが判断した)ような場合は、エンジンブレーキを受け止める ための他の部品を油圧などで作動させます。したがって、ギヤ段が変わら ない、つまり変速を伴わない単なる「減速」では、バンドブレーキの状態は 変化しません(ブレーキをかけっぱなしか、ブレーキを解放しっぱなしの どちらか一方の状態をキープ)。
 そうではなく、変速する場合、例えばドライバーがマニュアル操作でセレクト レバーを動かす場合(Dレンジ3速状態から、セレクトレバーを2レンジに マニュアルシフトするような場合など)は、AT内部のギヤ段が変わりますので、 バンドブレーキも作動することにはなります。
 が、アクセルオフなので、やはりエンジンブレーキを効かせるために(上記に 挙げた多板クラッチの一つである)オーバーランニングクラッチなどを作動 させることになり、こちらの方が制動力を負担し、バンドブレーキは「作動」は するが制動力は負担しない・・・という状態になると思います。

 ちょっと難しいかもしれませんが、「リニアな加減速であれば問題ない」ですね。

■ まとめ

 今回のAT交換は最初からクレーム扱いすることは考えていませんでした。理由は以下の通りです。

・保証期間である5年を過ぎている。
・公認改造(フロント車高ダウン)がなされている。

 SVXや初代レガシィのGT系(BC5/BF5)ではATのトラブルは良く聞きます。ミッションの設計自体が 悪かったのか定かではありませんが、乗り方で左右されることもまた事実であります。丁寧に乗ら れているクルマでこの種のトラブルは聞いたことがありません。
 交換したミッションは当然、対策品でしょうが、これからは急加速を控え、おとなしい運転に 徹することがミッションの寿命を長くする方法ではないかと思っています。

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