※このページは二弦社発行「NAVI」誌 10年10万kmストーリ のパロディです。


ワゴンは道具だ

夢の助さんとスバル レガシィツーリングワゴン Brighton FF(1993年型)
6年6ヶ月 11万4000km

今やワゴンの代名詞にもなったスバルレガシィ。
今回は沖縄県を除く46都道府県を走り回って10万kmを走破したオーナを紹介する。

 ■ スバルのff。ffのスバル。

 スバルのレガシィと言って思い出すのはやはり、ターボエンジンを積んだ4WDワゴンであろう。 それほどまでにレガシィと言えばワゴンであり、4WDターボなのである。 三代目になって、B4が出てきてからセダンに少し風向きが変わってきてはいるが、やはり 今でも売れ筋はワゴンであり、4WDターボ車なのである。
 今回紹介する夢の助さん(34歳)はワゴンながら4WDではなく、ffという非常に珍しいモデルの オーナだ。
 ff、すなわち前輪駆動は元々スバルがパイオニアである。今から30年ほど前にスバル1000という 、4気筒の水平対向エンジンに縦置きミッションを組み合わせた前輪駆動車を世に出している。ffと いう言葉もこのスバル1000から使われ出した。その後、レオーネバンで4WDを出してからは徐々に 4WDのスバルというイメージが出来上がり、現行レガシィは4WDモデルのみでffモデルは存在しない。
 「そりゃぁ、かなり悩みましたよ」
 4WDにするか、ffにするか、かなり悩んだ。でも、ツーリング主体の使い方だったのと、4WDモデルを 試乗してややパワー不足を感じたことが決め手となって今のBrighton FFに決めた。ここで注意しなく てはいけないのは、夢の助さんの言う4WDモデルとはBrighton 4WDのことで、ターボのGTやDOHCのVZ のことではない。シンプルが一番と考える夢の助さんにそれらのモデルは最初から選択肢には無かった。
 「でも、このBrighton FFよりも欲しいモデルがあったんです」
 それは2.2リッターSOHCエンジンを積むBrighton220のことだ。+200ccあれば4WDでもパワー不足を感じ ないだろうと思ったが、新車は予算の都合で到底無理。中古も考えたが、新車に乗りたかったこともあり 結局断念した。

 ■ 道の駅愛好家

 色々とあったが、晴れてBrightonFFオーナとなり益々ツーリングに熱をあげるようになった。
 夢の助さんは読者諸兄と同じく電車通勤のサラリーマンである。当然、クルマに乗るのは 週末や長期休暇の時に限られる。そういう中で多い時には年間2万kmもこのレガシィで走ることも ある。
 「私の旅のスタイルは国道を中心とした一般道を走り、眠くなったら途中にある道の駅 で車中泊をするというものです。きっちりとしたスケジュールを組まずに行きたい所へ気ままに 旅をするのが好きなんです。最近では道の駅に立ち寄ること自体が旅の目的にもなりつつありますね」
 道の駅を知らない読者の為に簡単に説明すると、高速道路にあるサービスエリアの一般道版である。 全国に約400ヶ所ほどあるようだ。この道の駅で車中泊しながら主に一般道を使って北は稚内、南は 鹿児島まで走った。

 主なツーリングを挙げると...

平成7年7月 北海道 走行距離約2,600km
→ 青森県大間崎から北海道入りし、道央、道東を中心に走る。

平成9年3月 北海道 走行距離約2,800km
→ 流氷を見る為にオホーツク海へ。

平成10年9月 四国・九州 走行距離約3,400km
→ 明石海峡大橋を渡り、佐多岬から九州入り。

 平成11年9月 北海道 走行距離約3,200km
→ 道南、道央を走る。

 とかなり精力的に走っていることがお分かりいただけるだろう。この他に所属しているクラブで年4回 ほど関東近県を数台の初代レガシィでツーリングを行っている。

 □ 最高の道具。


 10万kmを共にしてたいそうお気に入りのように見えるが、実は一度だけ乗り換えを考えたことがある。 平成7年頃にディーラ系の中古車センターで平成6年登録で走行100km、白のBrighton220の新古車を見つけた。 新車購入時には予算の都合で諦めたBrighton220であるが、新車で乗ることの出来る最後のチャンスだと思い、 下取りに出すつもりで査定までしてもらい半分決めかけたところで断念した。理由は追金が100万円を越えて いたことと、すでに愛着があったからだ。この時に改めて10年10万km乗ろう!と決意する。
 左の写真は昨年夏、10万kmに到達した瞬間を収めたものである。夢の助さんは言う。
 「多くのオーナはこの瞬間を迎えることなくクルマを乗り換えています。私はこの素晴らしいクルマと 出会い、そして一つの節目である10万kmを迎えることが出来て幸せですね」
 新車で購入して以来、故障らしい故障はない。初代レガシィは特にトラブルが多いような印象を持っているが、 NAモデルに限るとそうでもない。他のクルマと同じである。
 「ツーリングの友としてこのレガシィは最高の道具ですね」
 嬉しそうに話す夢の助さんの言葉からこのクルマへの愛情が十分に感じ取ることが出来る。
 最近は不況の影響もあってクルマに長く乗る人が増えているそうである。今のクルマは必要なメンテ ナンスを行えば20万、30万kmは乗ることが出来る。やがて夢の助さんのように一台のクルマを長く乗ること が当たり前の世の中になるであろう。

【文と写真】成澤 一郎

夢の助さんのレガシィ
 平成元年2月にレオーネの後継車種としてデヴューしたレガシィは10万km速度記録を樹立 するなど、当初から"走り"を重視したクルマであった。そんな走り重視のクルマのワゴンに当初は ターボモデルは存在せず、八ヶ月遅れで登場するや日本でのワゴンブームの立役者となった。
 ワゴンBrighton FFは平成4年6月の最後のマイナーチェンジで登場。ワゴン初のFWDモデルと なった。ライバルであるアベニールやカルディナに安価なFWDモデルがあった為に、その対 抗策と見られた。しかし、既にレガシィ=4WDという定評があった為に販売は延びずに二代目へと バトンタッチした。
 夢の助さんはモデル末期の平成5年10月に購入。その訳を聞くと、
「値引きも然る事ながら、二代目のスタイルがどうしても好きになれなかったことと、六連星が無くなった ことが理由です」
 なるほど。スタイルは好みの問題であるのでこの際置いておく。六連星が無くなったことは実は私も 気になっている。こういう時代だからこそメーカのアイデンティティを全面に出して欲しいものである。
 メンテナンスは特別なことは行っておらず、強いて挙げれば5,000kmごとのオイル交換。
「構造が単純なんで壊れるところが無いのですよ」
と笑って話す。
 オイル交換などの簡単なメンテナンスは自分で行うそうだが、基本的には信頼のおける整備工場に セカンドカーのSVX共々任せている。その整備工場で10万kmを目前にしてタイミングベルト、ATF、 ATFストレーナ、ドライブシャフトブーツを交換。新車以来5年無交換だったバッテリーは自分でホーム センターで交換した。また、つい最近ISCバルブ周りをケミカル剤で清掃して心なしかアイド リングが安定したと語ってくれた。
 外観はアルミホイールを履いているくらいでほぼノーマル。
「エアロパーツを付けた"ドレスアップ車"で元よりカッコ良いクルマを見たことがありませんね」
と断言する夢の助さんにとって、そのテの雑誌に出て来るクルマとは無縁のようだ。


MY LEGACY